ファクタリングは経済産業省も推奨している資金調達方法ではありますが、銀行融資やカードローンとは違った、様々な失敗例があります。
今回の記事では、実際に銀行でファクタリング業務を行っていた筆者がファクタリングでよくある失敗例について解説をします。
また、失敗しないための方法や実際にあった失敗事例についてもわかりやすく解説をしますので、参考にしてください。
ファクタリングの失敗でよくあるケース
ファクタリングの失敗でよくあるケースについてまとめました。
- 業者選びを間違っている
- 手数料を把握していない
- 必要な時に資金調達ができなかった
- ファクタリングを継続して利用してしまっている
- 売掛先との関係が悪くなってしまった
- ファクタリングの利用がバレてしまい業界内での立場が悪くなってしまった
- 銀行にファクタリングの利用を喋ってしまった
それぞれの事例について、実際に筆者が担当していた企業であった話を交えて解説をします。
業者選びを間違っている
ファクタリングは業者によって大きくサービス内容や対応スピードが異なります。手数料も異なりますし、審査から入金までのスピードも違います。面談をおこない、この業者は信頼できると思ったけれど、その後の対応が悪いといった不満もよく聞かれます。
また、ファクタリング業者の中には正規事業者を装ったヤミ金業者が潜んでいるケースもあるので注意が必要です。
ヤミ金のような違法業者でなくとも、ファクタリング業者の中には高い手数料を請求する業者もあります。実際に筆者が担当していた企業の中には、銀行のファクタリングを利用できるにもかかわらず、非常に手数料が高いファクタリング業者を選んでしまった事例もありました。
ファクタリングで失敗しないためには業者選びは非常に重要になります。
手数料を把握していない
銀行融資やカードローンについては、各銀行やカードローン会社によって、そこまで大きく金利が違うことは無いかもしれません。(それでも数%違えば大きな違いですが…)
しかし、ファクタリングは業者によって大きく手数料が異なります。
ある程度の手数料の目安はインターネットで検索をすればわかるかもしれません。しかし、実際に適用されるファクタリングの手数料は業者と直接交渉をしてみなければわかりません。
筆者が過去に担当した企業の役員から聞いた話ですが、知り合いの企業が異様に手数料が高いファクタリング業者を使ってしまい、経営に困っているといった話を聞いたことがあります。
ファクタリングを利用する際は必ず各業者の手数料を比較検討すべきです。
必要な時に資金調達ができなかった
ファクタリング業者の中には「最短即日資金調達」と謳っている業者がたくさんあります。確かに「最短」即日資金調達ができるかもしれませんが、あくまで「最短」です。
すべてのケースで最短で資金調達ができるわけではありませんので、注意してください。
特に土日でも利用できると謳っているファクタリング業者については注意が必要です。土日に申し込みができても、実際に審査に取り掛かるのは平日というケースが多いです。最短と謳いながら、迅速に対応してくれない業者も少なくありません。
すぐに資金が必要な場合は、必ず複数の業者を調べてから利用するようにしてください。
ファクタリングを継続して利用してしまっている
これはファクタリングを利用した多くの業者にありがちなので、注意してください。
ファクタリングは一時的に資金繰りが悪くなったときに利用するには良い資金調達方法です。
しかし、銀行融資やカードローンの金利に比べて手数料が割高のため継続して利用するべきではありません。
確かにファクタリング会社の審査は銀行融資やカードローンに比べて、利用する会社の信用力はあまり重視されないため、利用したくなる気持ちがわかります。
実際に筆者が担当していた企業の中にも、継続的にファクタリングを利用している先がありました。
ファクタリングを継続的に利用してしまうと、手数料の負担が大きくなり、結局は経営が行き詰まってしまいますので、ファクタリングを利用する際は一度限りにするのが基本です。(手数料の低い銀行ファクタリングは除く)
売掛先との関係が悪くなってしまった
ファクタリングを利用する会社は、一般的に業績があまり良くない会社です。
また、ファクタリングに自分の会社の売掛金が利用されるのも一般的には嫌がる会社が多いと感じています。なぜなら、ファクタリングを利用している会社が倒産すると思われるからです。
売掛先に今後の取引を懸念されて、取引を解消されてしまうケースも実際にあったので、ファクタリングを利用する際は、売掛先との関係については特に注意をしてください。
ファクタリングの利用がバレてしまい業界内での立場が悪くなってしまった
売掛先との関係だけでなく業界内での立場も悪くなってしまうことがあります。
軽い気持ちでファクタリングの利用を仲の良い他の会社の人に喋ってしまったり、社員が関係先の業者に話してしまって、その後、取引に悪影響があったという会社を筆者はかつて見たことがありました。
ファクタリングの利用は銀行融資とは違って、堂々と公表すべきでは無いことは覚えておいた方が良いでしょう。
銀行にファクタリングの利用を喋ってしまった
銀行にファクタリングの利用を安易に喋るのはやめてください。
ファクタリングは決算書には出てこない資金調達方法なので、基本的に決算書からファクタリングの利用がわかってしまうことはありません。(ただし最近は売掛金の移動などにより銀行員にバレてしまう可能性がありますが…)
ファクタリングを利用する会社は、先ほどから説明している通り、一般的に業績があまり良くない会社になるので、銀行に安易に話してしまうと、今後の融資に影響が出てしまいます。
ファクタリングで失敗しないためのポイント
ファクタリングで失敗しないためのポイントについてまとめました。
- 業者選びをしっかりと行う
- 手数料・コストを契約の前によく確認する
- 継続してファクタリングの利用はしない
- 銀行や他人にファクタリングの利用を喋らない
- 審査に臨む際は入念に準備する
それぞれのポイントについてわかりやすく解説をします。
業者選びをしっかりと行う
ファクタリングを利用する際は、まずは銀行ファクタリングを第一に考えるようにしてください。
なぜなら、銀行ファクタリングは信用力が高く、手数料が業者のファクタリングに比べると圧倒的に安いからです。
もし銀行ファクタリングの利用が難しい場合は、複数のファクタリング業者を比較検討しましょう。
業者によって大きく手数料や資金調達のスピードが違うため、必ず複数の見積もりを取るのが重要です。
手数料・コストを契約の前によく確認する
ファクタリングを利用する際は、必ず複数の業者を比較して手数料とコストについてよく検討するようにしましょう。
先ほどから説明している通り、業者によって大きく手数料やコストが異なるからです。
また悪質な業者の場合、契約の前に提示していた手数料やコストと契約書に盛り込まれている手数料やコストが違うケースがあるようです。
また、契約をした後、ファクタリングを利用する会社に不利な内容の契約書に差し替えてしまう業者もあるようなので、注意してください。
ファクタリングを利用する際は、契約書の中身をよく確認し、契約書の控えについては必ず保管するようにしましょう。
継続してファクタリングの利用はしない
ファクタリングはあくまで一時的な利用にとどめるべきです。なぜなら、銀行融資やカードローンに比べて手数料が非常に高いからです。
ファクタリングを継続して利用してしまい、ファクタリングを利用しないと経営が立ち行かなくなってしまうと、必ず倒産の危機に瀕してしまいます。
ファクタリングは決して悪い資金調達方法ではありませんが、一時的な利用にとどめるようにしてください。
銀行や他人にファクタリングの利用を喋らない
ファクタリングは、銀行融資とは違うので銀行や他人にファクタリングの利用を喋るのはやめましょう。
なぜなら、一般的にファクタリングを利用する会社の業績は厳しいからです。
銀行や他人にファクタリングの利用を喋ってしまうと、銀行からの融資が打ち止めになってしまったり、取引先との取引が停止になってしまう可能性があります。
審査に臨む際は入念に準備する
ファクタリングは、ファクタリングを利用する会社の信用力よりも、売掛先の信用力が最も重視されます。
しかし、ファクタリングを利用する会社も、もちろん審査の対象になるので、ファクタリングを利用する際は、必要書類や面談の際の質疑応答など入念に準備をするようにしてください。
ファクタリングの準備をしっかりと行うことによって、手数料やコストが安くなる場合もありますし、資金調達のスピードを早くしてもらえる場合もあります。
売掛先の信用力が高ければ審査に通過できると高を括らずしっかりと準備するのが重要です。
ファクタリングの実務を行っていた元銀行員の筆者からみるファクタリングの失敗実話
筆者は銀行の融資部にいましたが、ファクタリングの利用を銀行に喋ってしまい、融資を打ち止めになってしまった企業を担当したことがあります。
やはりファクタリングは手数料が高いので、一般的には業績が悪い会社が使うものです。
一時的な利用であればファクタリングの利用は悪いものではありませんが、銀行に知られてしまうと非常に印象が悪くなってしまうので、銀行に聞かれない限りファクタリングの利用は言わないほうが良いでしょう。
筆者の担当企業がファクタリングの利用をしていると判明し上司に報告した時、すぐに融資を引き上げろといった指示を受けました。
取引金融機関からみるファクタリングのマイナス
基本的に銀行ファクタリングと医療ファクタリング・国際ファクタリング以外のファクタリングの利用は著しく取引金融機関の印象を悪くします。
これらのファクタリングについては、手数料が低いので、優良企業も利用をしています。
よって取引金融機関から見てもマイナスにはなりません。
しかし、銀行以外の民間の一般的な買取ファクタリングの利用は、取引金融機関から見ると、業績の悪化と見られてしまいます。極力、銀行ファクタリングや医療ファクタリング、国際ファクタリング以外のファクタリングは利用しない方が良いかもしれません。
ただし、一時的な資金繰りが必要で、民間のファクタリングを利用するのは悪くありませんので、安心してください。
まとめ
今回は、最近利用が大きく拡大しているファクタリングの失敗例について、元銀行員でファクタリングを取り扱っていた立場から説明をさせていただきました。
ファクタリングは一時的な利用であれば、非常に有効な資金調達方法ではありますが、様々な注意点もあります。
ファクタリングの利用で失敗しないためにもぜひ今回の記事を役に立てていただければ幸いです。